吸血鬼と紅き石
その黄金の双眸を爛々と怒りに燃やしたまま、リイエンを見下ろす。

目の前の男の身を包む、先程までとは違う醜悪な気迫に少女は息を呑んだ。

「レンバルト、だと?まだあの男の庇護下に自分があると勘違いしているようだな…」

良い事を教えてやろう、と今度は唇が小馬鹿にした、醜悪な笑みに歪められる。

「アイツはここには来られない。間抜けにも罠にかかった上に奴に恋慕する女に空間ごと閉じ込められて、それっきりだ」

だから奴は来られないと罵るように断言した吸血鬼に対して、リイエンはきっぱりとその言葉を否定してみせる。

「いいえ、来るわ!…レンバルトは強いもの!卑怯者のアンタなんか、すぐに倒してくれるわ!!」

言い切った少女の言葉に、男の瞳が怒りに歪んだ。





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