吸血鬼と紅き石
怒りのままリイエンに触れようとした目の前の男の指からは、煙が出ている。

何が起こったか分からず、互いに驚きで目を見合わせていた二人だったが、その顔からリイエンの胸元に目を落としたザーディアスの瞳が瞠られる。

「お前がしているそれは、我が眷族の……」

言われて初めてリイエンは自分の胸元に視線を落とした。

(あ)

視界に入ったのは、細い鎖に繋がれた乳白色の石。

「それは誰のモノだ?…レンバルトの…いいや、奴のモノではないな…」

リイエンの胸元に視線を落としたまま、ザーディアスが一人呟いている。

「アイツのモノでないとすると、一体どいつの…」

言いかけた言葉の終わり、ザーディアスの瞳が開かれた。


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