吸血鬼と紅き石
「――ッ、ぐ…!」

衝撃を待ち構えていた筈が、身体を強張らせて待っていても中々襲って来ない。

代わりに聞こえて来たのは、男の低い呻き声。

何事かと、リイエンはそろそろと目を開ける。

「――ッ、ア!あ、くそ……!」

見えたのは、虚空を睨みながら何に対してか悪態を吐いているザーディアス。

その身体は強張り、先程まで光を湛えていた手で力なく額を押さえた。

「あ゛、そんな…、まだ意識が残ってやがるとは…」

突然の事に訳が分からぬままだったが、リイエンの目にもザーディアスが何かに苦しんでいる様子なのは見てとれた。

見開かれた目は血走り、こめかみには幾筋もの血管が浮いている。





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