吸血鬼と紅き石
──彼だから。

ふと胸に落ちた言葉にきっとそうなのだろうと確信した。

理由は分からないが、レンバルトだから怖くないのだ。

「違うでしょう。貴方は、違うわ」

きっぱりとした口調で言い切ったリイエンに青年が目を丸くする。

それから堪らない、とばかりに吹き出して。

「…どうして笑うのよ」

大笑いする青年にリイエンはむくれる。

そんなおかしな答えは返してなどいない筈だ。

「悪い悪い。そう素直に信用して貰えるなどと思わなかったモンでな」

むくれたリイエンの頭を、青年が軽く叩くように撫でた。

子供扱いされたようで面白くないが、どこか嬉しくもある。

「…それて、もしかして私の心臓を狙って来た奴に父は、殺されたの?」

ふとした思い付きにリイエンの表情が暗くなる。

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