吸血鬼と紅き石
「きゃっ!」

足元で何か爆ぜたと思ったら、その勢いのまま床に転がっていた。

何が、と見れば白いはずの床が、闇に浸食されたように黒に染まり、溶けた所からは煙が立っている。

見覚えのあるそれに、そろそろとリイエンは己の背後に視線を移した。

「―――ッ!」

彼女の瞳に映ったのは、黒髪と漆黒のマントの吸血鬼、ザーディアス。

逃げなければ、と立ちあがろうとする腕に力を込めるも、視界に入った異質な“ソレ”が彼女の動きを封じた。



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