吸血鬼と紅き石
(レンバルト、に、恋…)

心の中で唱えながら、リイエンは横目でチラリとそのレンバルトを見上げる。

自分にはよく分からないが、『灰霧の王』とか呼ばれている彼は、吸血鬼の中でも圧倒的な力の持ち主なのだろう。

彼と対峙する吸血鬼―――ザーディアスの様子からも、何となく分かる。

おまけに…そうだ、自分も初めて彼を見た時は、神が創った至高の人形だと思った位、その見目は整い過ぎる程に整っている。

この男は同族の女吸血鬼にも魅力的に映るのだろう。

好意を寄せる女性の一人や二人…いやもっといてもおかしくはない。

…おかしくはない、のだけれど。


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