吸血鬼と紅き石
「約束も守らねェ、折角手に入れた瞳を悪用するから、オルフェルトの奴もさっさと愛想尽かしたんだろう?」

してやられたな、と嘲りの色濃くレンバルトが片頬を歪めた。

「…貴様…言わせておけばよくもまぁ、ほざくものだ」

ゆらり。

ギリギリと噛み締める歯と、レンバルトを睨み付ける、ぽっかりと空いた二つの闇。

その怒りに呼応するかのように、ザーディアスの全身からゆらりと陽炎のような、禍々しいとしか表現の出来ない闇が漂う。

レンバルトが駆け付けてくれる寸前、己に向かって放たれた闇だ。

横にレンバルトがいる今目にしても、そのおぞましさに肌が粟立つ。


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