吸血鬼と紅き石
「お前も察しの通り、奴は同族の吸血鬼に殺されたんだ」

リイエンの眼差しを受けた青年が首肯する。

「生憎、俺もオルフェルトを殺した奴は、どいつなのか見当も付かねェが、吸血鬼って事に間違いはねェだろうな」

殺された父の、凄惨な光景が蘇る。

確かに人間にはあんな殺し方、不可能だと思うが…。

「そんな、のって…」

青ざめたリイエンの唇が震える。

胸元の拳にもキツく力が入った。

「そんなのって、ないわ…っ!」

父の死を理解しても堪えていたリイエンの瞳から雫が落ちる。

「ち、父が何をしたって言うの!?ただ、母と私を愛してくれただけじゃ、ないっ!」

嗚咽で途切れる声が、悲しみと怒りに震える。

「こんな、酷い事ってないわ…っ!」

涙を拭おうと伸びて来た青年の手を思い切りリイエンは叩き落とした。

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