吸血鬼と紅き石
「貴様…!」

「口には気を付けろよ。次にリイエンを侮辱しやがったら髪じゃなくて、今度は首を落とすぞ?」

男の憤る様を鼻で嗤い、王と呼ばれる青年は口端を揶揄めいた形に吊り上げてみせる。

ギリ、とその様子にまた歯噛みしかけた男は、ふと気付いたように青年と眠る少女とを見比べた。

「まさか…まさかレンバルトお前、あの娘に惚れているのか?」

「だったらどうした」

投げ掛けられた問いに、間髪入れずにレンバルトが肯定する。

「……ハハ、ハハハハ!」

そんな青年の態度にしばし唖然としていたザーディアスが声高く笑い出した。


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