吸血鬼と紅き石
血を流す手に、レンバルトは剣を生み出した。

握る腕に余り力が入らない。

ザーディアスが、そんなレンバルトの様子を愉しそうに眺めている。

「力こそが吸血鬼の全て―――。王たるその地位を欲しがる眷族が一体どれ程いるのか……生まれた時既に全てを持っていたお前には分かるまい!」

ザーディアスの叫びに、レンバルトが舌打ちする。

「分かってんなら一々言うな」

言葉と共に襲いかかる鞭を払い切った。

「あんまりうるせェと、今度は舌を斬り落とすぞ?」

剣を斜に構えた青年は、鬱陶しそうにそう告げる。


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