吸血鬼と紅き石
力と力、同じ力同士がぶつかれば、より力の劣る方が淘汰されるもの。

理屈は明白。

だが床に膝を着きながらも自身に起こった衝撃を、ザーディアスは理解することが出来ない。

「驕りが過ぎたんだよ、お前は。オルフェルトを倒して瞳を奪って…瞳に記憶された術や記憶を取り込んだだけで強くなったと思い込んでたんだよ」

さらりと告げるレンバルトの言葉に、ザーディアスは驚きを隠せない。

「ア゛、強ぐ…俺は強くなった筈だ!」

そう言い切るザーディアスの目の前で、その指先が霧のように溶けていく。

先程の鞭のように―――灰霧の王、彼の名が示すままに。


< 240 / 263 >

この作品をシェア

pagetop