吸血鬼と紅き石
「強くなった、っても上辺だけな。術やら何やらは、技術がなけりゃ使いこなすことは出来ない。それを怠った結果がコレ、ってことだ」

残念だったな、と王が嗤う。

「ぞ、んな…貴様、を…ぐ、追い詰めた、かと…」

王たる青年を追い詰める程の力を持った筈、と言い募るザーディアスを、冷徹にレンバルトが撥ね退ける。

「あ?そんなの空間破散させないよう、抑えて闘ったからに決まってんじゃねーか」

言葉と共に王が視線を向けるのは、彼の力に護られて眠る少女。

もし闘いの最中に空間が崩壊でもすれば、何の力も持たぬ少女は王の力に護られているとはいえ、無事に済む保障はない。

「…グ…ぁ、そん、な…」

彼を追い詰め、拮抗していると思い込んでいた力が、『手抜き』の結果だと告げられてザーディアスは打ちのめされた。


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