吸血鬼と紅き石
第十六章

エピローグ

「―――エン」

優しい声がする。

「…リイエン」

父さんと同じくらい…けれど父のものではない、いつまでも聞いていたい、自分を呼ぶ声。

「リイエン」

優しくて甘い…美しい声。

頬にそっと、指が触れる。

自分を呼ぶ声と同じ、優しく触れるぬくもり。

(ああ、きっとこれは“彼”だわ)


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