吸血鬼と紅き石
灰銀の色彩持つ、風変わりな吸血鬼。

思い出したのに瞼が開かない。

頬に触れていたぬくもりがそっと動いて、ゆっくりと、今度は唇をなぞってゆく。

「―――おい、いい加減起きねェか。この…眠り姫」

些か乱暴な口調になった声と、それでも優しい指で頬をつままれる。

不器用で優しい吸血鬼、レンバルト。

まだ夢半ばでありながら、かの王たる青年の姿を瞼の裏に描き、少女は緩やかに笑んでみせる。

「…あ?コラ、何笑ってやがんだ、寝ぼすけ娘が」

ふにふにと、今度は唇を緩くつままれる。


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