吸血鬼と紅き石
第一、父だってそんなこと望んでなんかいない筈だった。
何時もリイエンが泣いていると、優しく抱き締めて、決まってこう言うのだ。
『私の可愛いリイエン。悲しみの雨ばかり降らせていないで、その可愛い瞳を私によく見せておくれ』
と。
これからどうしたら良いのかも、何をすれば良いのかも分からない。
だが、ただ悲しんでばかりいるのはもう終わりだ。
「…取り敢えず、あの人に会わなくちゃ」
レンバルト。
父の友人だというあの、吸血鬼の男。
良く考えれば、ひどい事をしてしまった。
助けてくれたにも、心配してくれたにも関わらず、あの態度。
(謝らなくちゃ)
手で髪を梳いたりと軽く身なりを整え、リイエンは青年を捜しに部屋を出た。
何時もリイエンが泣いていると、優しく抱き締めて、決まってこう言うのだ。
『私の可愛いリイエン。悲しみの雨ばかり降らせていないで、その可愛い瞳を私によく見せておくれ』
と。
これからどうしたら良いのかも、何をすれば良いのかも分からない。
だが、ただ悲しんでばかりいるのはもう終わりだ。
「…取り敢えず、あの人に会わなくちゃ」
レンバルト。
父の友人だというあの、吸血鬼の男。
良く考えれば、ひどい事をしてしまった。
助けてくれたにも、心配してくれたにも関わらず、あの態度。
(謝らなくちゃ)
手で髪を梳いたりと軽く身なりを整え、リイエンは青年を捜しに部屋を出た。