吸血鬼と紅き石
「おい、そこの子狸。コソコソ隠れちゃいねェで、さっさと出て来たらどうだ?」

青年から投げられた声。

(子狸!?)

流す事など知らず、リイエンはカチンと来る。

年頃の娘を捕まえて、狸呼ばわりするなんて、失礼にも程がある。

「誰が子狸よっ!」

謝ろうとしていた事実も忘れ、リイエンは怒鳴る。

「…クク、相変わらず楽しいな、お前は」

怒鳴ったついで、思わず物陰から身を乗り出したリイエンの事を青年が笑う。

「……っ、煩いわね」

恥ずかしさに顔を赤くし、小さな声で反抗してみるも勝ち目はありそうにない。

そんなリイエンを笑いながらレンバルトが手招きする。

むくれながらも大人しくリイエンが青年に近寄ると。
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