吸血鬼と紅き石
「良く見たら子猫だったな。失礼した」

徐にリイエンの髪を一房掴み、そこに恭しく唇を当ててみせるレンバルトの行動に、リイエンは赤い顔を更に赤くさせた。

何か言い掛けようとした唇は震えるも、慣れない行動に言葉が出ない。

「……で、俺に何か言う事は?お姫様」

歯どころか顎まで浮いてしまいそうな台詞と共に、青年がリイエンの言葉を促す。

「……っ、昨日は、ごめんなさい」

端正な顔に見つめられてたじろぐも、どうにか言い切る。

「良く出来ました」

同時に摘まれていた髪が離され、掌で髪を緩く撫でられた。

悔しいが子供扱いされている以上に、青年のペースに流されているとしか思えない。

思えないの、だが。

憤慨する途中でふと青年を見上げる。

片眉を上げてその視線に応える青年に、何だかどうも上手い事気を遣われている気がしてならない。

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