吸血鬼と紅き石
こちらが変に焦ったりしなくて良い様に誘導されてる気がして仕方がないのだ。

(…これも、年の差のせいかしら)

目の前のこの極上の青年は俄には信じられないが、きっと人がその一生を終え、転生するよりも長い飽くような時間を生きて来たのだ。

その分経験も何も、あってもおかしくはないのだが。

(何か、癪だわ)

神が創った人形のようだと初めて見た際に自身がそう思った、至高の美貌を前に、リイエンは溜め息を吐く。

実はリイエンは優しい父に手を焼かせた程の、負けず嫌いだったりしたのだ。

怪訝そうなレンバルトを見上げて、リイエンは眼差しを改める。

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