吸血鬼と紅き石
「ねぇ…あなたにはしばらく私にここに居ろと言っていたけれど、私は何をすれば良いの?」

昨日、部屋に戻る時に言われた言葉を思い出して尋ねる。

「別に…好きに過ごしゃ良いだろう」

「そうはいかないわ。何もせず、たたで居させて貰う訳にはいかないもの」

物珍しげな目付きで眺められ、多少居心地の悪い思いはするものの、リイエンはきっぱりとそう言い切る。

リイエンが父と暮らしていたカツールという村は、豊かな所ではない。

治安もそう悪くなく、人も親切で長閑と言えば聞こえは良いが、日々の暮らしで精一杯の貧しい農村だ。

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