吸血鬼と紅き石
働ける者は子供でも老人でも働く。

一宿一飯の恩は、労働で返すのが当たり前の場所だ。

そういった習慣が幼い頃から身に付いているせいか、何もせず恩恵だけに甘んじる訳にはいかなかった。

「基本の掃除、洗濯、炊事から出来る事は何だってするわ」

だから何か言い付けろ、と見上げる先のレンバルトは困ったように頬を掻くだけ。

「何もする事がないのなら、申し訳ないけど帰らせて貰うわ」

きっぱりと言い切ったリイエンにレンバルトが慌てる。

「おいおい…ッたく、この強情娘が」

眼差し強いリイエンに圧されたのか、今度は諦めたようにレンバルトがガリガリと髪を掻く。

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