吸血鬼と紅き石
良く考えたら、出掛けたレンバルトがこのまま帰って来なくてもおかしくないのだ。

青年の言葉通り用意されていた食事を取りながら、リイエンは思う。

青年は傲慢で残忍な吸血鬼なのだ。

彼の仲間が攻めて来て、自分は殺されるかもしれない。

いや、彼に殺されるかもしれない。

父の友人だという言葉さえ、嘘かもしれないのだ。

それともこのまま城に、ずっと一人ぼっちかもしれない。

(なのに)

何故こんなに安心しているのだろう。

疑わしい点は幾つもあるのに。

食事を終えて紅茶を飲みながらリイエンは思う。

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