吸血鬼と紅き石
「……え?」

意外な言葉にリイエンは目を丸くする。

父の、お墓なんて一体誰が作ったのだろうか?

カツールの村の人だろうか?

それとも…。

目の前の青年を見上げて、リイエンは直感する。

彼だ。

きっとレンバルトが自分の為に良く知りもしない墓を作ってくれたのだ。

「ありがとう、レンバルト」

黒いワンピースをぎゅっ、と抱き締め、リイエンは色々な想いの籠もった礼を告げる。

「……何の事だか良く分からんが…準備が出来たら呼べ」

リイエンの礼の言葉に反応するように僅か片眉を上げたレンバルトだが、フン、と鼻を鳴らして何事もなかったかのように部屋を出て行く。

(優しくて不器用で意地っ張りな人)

リイエンは唇だけで笑うと早速慣れない事をする男を待たせないようにと、手早く青年の持って来たワンピースへと着替え始めた。

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