吸血鬼と紅き石
「何だ、もういいのか?」

自分の顔を見上げるリイエンに気付いてレンバルトが尋ねる。

「ええ。こうして父を弔えたのも、あなたのお陰だし。本当に感謝してるわ」

ゆっくりと微笑むリイエンの頬に、何か言いたげにレンバルトが触れる。

「泣かねェんだな」

優しい指で、声音で呟かれたその言葉に、思わず胸にグッと何かが込み上げる。

(この人はどうしてこんなに優しいんだろう)

夕闇の光を浴びて尚、煌びやかに輝くこの銀の青年は。

私が彼の友人である、父の子供だからだろうか?

それとも――

リイエンの思考は、急に飛んで来た石に途絶えさせられる。

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