吸血鬼と紅き石
(珍しい…)

食事の用意も配膳も終わった所で言われた通り、レンバルトを呼びに来たリイエンは、奥の部屋で眠っている彼を発見した。

彼の、自室なのだろうか。

物がなく、こざっぱりとした、というよりは殺風景な部屋。

椅子に腰掛けて眠っている所を見ると、うたた寝をしているのかもしれない。

(疲れてる、んだろうな)

彫刻のようなその寝顔を見て、リイエンは思う。

今まできっと、ずっとこの城で一人で暮らして来たのであろう“彼”が、急に彼の友人である、父を喪った“自分”を抱え込む事になったのだ。

気を遣ったり、色々と慣れぬ事で疲れているのだと思う。

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