吸血鬼と紅き石
「レンバルト!」

城の中を捜し回り、ようやく見つけた青年にリイエンは近付く。

「…何だ、何か用か?」

自分の前に仁王立ちになった少女に、やや面食らった様子でレンバルトが問い掛ける。

その言葉にリイエンはこくりと頷き。

「さっきは、悪かったわ」

まずは謝罪の言葉を口にする。

「…お前、俺が怖くないのか?」

どこか歯切れの悪い問い掛けに、リイエンはスゥ、と空気を吸い込み。

「怖いわよ!吸血鬼なんて怖いに決まってるじゃないの!」

きっぱりと言い切る。

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