吸血鬼と紅き石
『―――』

微かに聞こえて来た声にリイエンは目を見開く。

まさか。

そんな、まさか。

湧き上がる想いと高鳴る鼓動を胸に、リイエンは部屋を抜け出した。

少しも走らない内に、緊張から息切らせて辿り着いた先に。

「――っ、大丈夫!?」

リイエンは見付けた影に駆け寄り。

力無く床に横たわる身体をしっかりと抱き締めた。

「…良かった」

多少、弱くてもしっかりと呼吸を繰り返す、腕の中の小さな身体に。

リイエンは一人、安堵の吐息を零した。

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