吸血鬼と紅き石
人は足を踏み入れる事も、この城の場所も知る事が出来ないのだと彼は告げている。

「なのにどうしてお前がいる?ここにお前を放り込んだ黒幕は…いや、“お前の中身”は誰だ?」

「…レン、バルト…?」

(中、身?)

意味が分からない。

どういう事だろう。

リイエンは背後の少女を見る。

少女はただ黙って、レンバルトの顔を見つめたままだ。

その表情や反応からは何も窺える物はない。

「“紅き石”を狙って来たのか?…懐にでも入れば、この俺に勝てるとでも?」

レンバルトはそう問い掛けを続けてフゥ、と一つ息を吐き出した。


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