吸血鬼と紅き石
「じゃあターニャ、これを運んでくれる?」

こくん。

料理の乗った皿を小さな両手で持ったターニャがゆっくり、中身を零さないようにと運んでいく。

リイエンはその背中を見送って、次の料理を三人分に注ぎ分ける。

三人の奇妙な協同生活。

人のように食事の必要がないレンバルトも最初にリイエンが尋ねたあの日から、変わらず一緒に食事を取っていた。

相変わらずどこへ出掛けているのか分からないが、必ず食事の時間には帰って来るのだ。

律儀なのか酔狂なのか分からないが、それを楽しんでさえいる様子すら感じる。


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