吸血鬼と紅き石

（本当、変わった吸血鬼だわ）

空になった鍋を流しへと運びながらリイエンは思う。

今までの請け負っている仕事と幼いターニャの世話もあり、最近はレンバルトと以前程話す時間も過ごす時間もないけれど。

軽く手を洗って清潔な布で拭きつつ、レンバルトの髪と瞳のように銀灰に光る流しをリイエンはぼんやりと見つめる。

相変わらず出掛ける時は『保険』なのだとレンバルトはリイエンの唇に触れていく。

話す時間も過ごす時間が減ってもそれだけは変わらないけれど、相変わらずその『保険』という行動が良く分からない。

彼の行動だから、何か意味はあるのだろうけれど。