吸血鬼と紅き石
己の唇に触れながらそうぼんやり考え事をしていたリイエンの腰に急にドン、と鈍く振動が伝わる。

「ターニャ…」

ここ数日で慣れたその振動に大して慌てずリイエンが己の腰を見下ろせば、そこにしがみ付く小さな少女の姿。

「…オイオイ、相変わらず失礼なガキだな。取って喰ったりなんかしねェのによ」

人の顔を見る度逃げ出しやがってとぼやきつつ、レンバルトが続けてやって来る。

「…お帰りなさい、レンバルト」

ターニャが城に来た日から繰り返される、相変わらずの関係に溜め息を吐きながらリイエンは城の主を出迎えた。

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