吸血鬼と紅き石
…分からない。

自分の知らない所で、色々な何かが動いていそうで、怖い。

「…あのガキはここにどうやって来た、って言ってる?」

レンバルトの問いに、リイエンはおずおずと口を開く。

「…何も、分からない、って…」

何度かどうしてここに来たのか尋ねてみても、小さな首は左右に振られるのみで、明確な答えは返って来ない。

「お前は何も、心配しなくていい。俺が守ってやる」

そのまま黙ってしまったリイエンの頭を優しくレンバルトが撫でる。

何もかもを察したような、穏やかな瞳にリイエンは安堵を覚えて頷いた。

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