吸血鬼と紅き石
「…ガキが起きちまうだろ」

そう告げられて慌ててターニャを見れば、落ち着いた寝息を立てる様に安堵して。

「そこは俺の特等席だったのによ」

その様子を見つめてそう告げながらフン、と楽しげにレンバルトが鼻を鳴らす。

「…一回だけ、勝手に、でしょ」

眠っている子供を起こさないようにと気遣って、リイエンは小さな声で訂正する。

「あーあ、ガキは良いよなァ。寝心地の良い場所も、お前も独り占め出来て」

唇に柔らかい笑みを乗せたレンバルトが、リイエンを見つめている。

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