吸血鬼と紅き石
レンバルトに額に口付けられたあの後、ターニャが起きてレンバルトは直ぐに出掛けてしまった。

相変わらず、どこへ行ったのかは知らないけど。

リイエンは額を押さえてフゥ、と嘆息する。

(本気、なのかしら?)

飽きない、や可愛い、は前からからかいの文句として言われて来たが、愛しいは初めて聞いた。

『リイエン』

己を呼ぶ、レンバルトのあのとろけるような瞳と、甘さを含んだ、低い声。

『…愛しいよ』

脳内に先程見た光景そっくりそのまま、声までが思い出されてリイエンは赤面する。

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