アオイハル
彼は、いつの間にか私の手から滑り落ちた防犯ベルを拾い上げると音を止めていた。
そして、私の方に右手を伸ばしてくる。
突然のことだったから、怖くて肩がビクンと震える。
そんな私の様子にちょっとムッとした表情をするので、余計に恐い人だと思ったのかもしれない。
恐さから逃れたくて私が顔を背けると同時に、左手を掴まれた。
「やっ…。」
振り解こうとしたのに、ビクともしない。
少しして、手を放したかと思いきや、その人は立ち去ってしまった。
一体、何なの!?
ふと、掴まれた左手に視線を向けると、ハンカチが巻かれていた。
首を傾げながら、巻かれたハンカチを少し捲って見る。
さっき揉み合ったことで付いたのか、手の甲にすり傷を負っていた。
絡まれてたのを助けてくれた上に、手当てまでしたくれたんだと…。
やっと、気づいた。
お礼、言わなきゃ!
さっきまで座りこんでいた場所のそばに置かれた防犯ベルを拾い上げると、男子生徒が去っていった方向へ走り出した。
だけど、彼の姿はどこにも無かった。
そして、私の方に右手を伸ばしてくる。
突然のことだったから、怖くて肩がビクンと震える。
そんな私の様子にちょっとムッとした表情をするので、余計に恐い人だと思ったのかもしれない。
恐さから逃れたくて私が顔を背けると同時に、左手を掴まれた。
「やっ…。」
振り解こうとしたのに、ビクともしない。
少しして、手を放したかと思いきや、その人は立ち去ってしまった。
一体、何なの!?
ふと、掴まれた左手に視線を向けると、ハンカチが巻かれていた。
首を傾げながら、巻かれたハンカチを少し捲って見る。
さっき揉み合ったことで付いたのか、手の甲にすり傷を負っていた。
絡まれてたのを助けてくれた上に、手当てまでしたくれたんだと…。
やっと、気づいた。
お礼、言わなきゃ!
さっきまで座りこんでいた場所のそばに置かれた防犯ベルを拾い上げると、男子生徒が去っていった方向へ走り出した。
だけど、彼の姿はどこにも無かった。