アオイハル
翌日、お礼が言いたくて、進学校の前で待とうと思った。



だけど、校門の前には女学園の先輩方が兄に会うために集まっていたから、少し離れた場所で待つことにした。



しばらくして、みんなの華やいだ声が聞こえてきた。



予想通りというか、兄が通りかかったからだ。



家族が心配するといけないから、昨日のことは誰にも言ってない。



こんなとこで待ち伏せしてるのを見られたら、何て言い訳したら良いのか…。



兄が家路につくまで隠れていようかと思っていたとき、進学校の男子たちに声をかけられた。



「葛城に会いに来たんでしょ?」



兄に見つかったら困るので、人差し指を唇に当て何とか黙っていただこうとしたのに…。



「上級生のお姉様たちがコワいんだね、可哀想に…。」



「一緒について行ってあげるから、声かけたらいいよ。」



「ち…違います。」



親切で言ってくれているんだろうけど、兄に見つかったらと考えると…。



お願いだから、そっとしておいて欲しい。



「恥ずかしがること無いじゃん。」



そう言いながら背中を押してくるので、私は首を横に振る。



「もしかして、紫宝院を待ってる?

あいつなら、もっと遅い時間じゃないと出てこないよ。」



何で、そうなるのかな…。



紫宝院の御曹司とやらも、兄同様モテるのか?



「そんなのじゃ、ありません!」



ちょっと、しつこいなぁ…なんて気持ちが出てしまったのか、少し強めの口調で言ってしまった。





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