アオイハル
昨日は兄に捕まったせいで、あの人に会えずじまいだった。
学校前で待ち伏せできないならどうしようかと思案しながら、箒を持つ手を動かしていた。
今は、校内清掃の時間だ。
ふと、窓の外に視線を向けると、授業中なのか兄がグラウンドを走っていた。
文武両道に長けた兄に敵う相手など…えっ!?
私はびっくりして、窓に張り付くように外を眺めた。
兄と争える人が、いたからだ。
しかも、私を助けてくれた…あの人。
暴漢を一撃で倒したくらいなのだから、スポーツは得意なのだろう。
兄とデッドヒートを繰り広げた結果、勝ったのはあの人だった。
非常に悔しがっている兄に対して、あの人は喜びを露わにすることもない。
手の甲で滴る汗を拭うと、あの切れ長の目を私がいる方に向けた…ような気がした。
クールな様子に、私の口から言葉が零れた。
「素敵…。」
最初は恐れていたあの目に、私は惹かれてしまった。
「聖愛さん、外ばかり眺めていらっしゃるけれど、何かありましたの?」
同じ清掃区域の翠子が声をかけるので、彼女の袖を掴んで外を指差した。
「あの方、ご存じかしら?」
「聖愛さんがご存じないのも、無理はないわね。
紫宝院家の彬様よ。」
それを聞いて、目の前が真っ暗になった。
学校前で待ち伏せできないならどうしようかと思案しながら、箒を持つ手を動かしていた。
今は、校内清掃の時間だ。
ふと、窓の外に視線を向けると、授業中なのか兄がグラウンドを走っていた。
文武両道に長けた兄に敵う相手など…えっ!?
私はびっくりして、窓に張り付くように外を眺めた。
兄と争える人が、いたからだ。
しかも、私を助けてくれた…あの人。
暴漢を一撃で倒したくらいなのだから、スポーツは得意なのだろう。
兄とデッドヒートを繰り広げた結果、勝ったのはあの人だった。
非常に悔しがっている兄に対して、あの人は喜びを露わにすることもない。
手の甲で滴る汗を拭うと、あの切れ長の目を私がいる方に向けた…ような気がした。
クールな様子に、私の口から言葉が零れた。
「素敵…。」
最初は恐れていたあの目に、私は惹かれてしまった。
「聖愛さん、外ばかり眺めていらっしゃるけれど、何かありましたの?」
同じ清掃区域の翠子が声をかけるので、彼女の袖を掴んで外を指差した。
「あの方、ご存じかしら?」
「聖愛さんがご存じないのも、無理はないわね。
紫宝院家の彬様よ。」
それを聞いて、目の前が真っ暗になった。