アオイハル
花嫁さんとは、私のことだ。
今日、緑に囲まれたチャペルで挙げられるのは…私の結婚式。
嬉しいかと聞かれれば、否と答える。
決して結ばれることは許されないけれど、私には好きな人がいるから。
今でも、好きな人が…。
心の中を別の人が占めていながら結婚を決めたのは、ひとえに…家のため。
「彬(アキラ)さんは?」
ふと思い出して口をついて出た言葉に、お母様たちは眉間に皺を寄せた。
「式には、いらしてくださるのでしょう?」
「ええ、まぁ…。」
このキーワードが出る度、お母様たちが言葉を濁すように返事をするのはいつものことだ。
お母様たちに促されて鏡に向けていた視線を、再び外へ向ける。
相変わらずキラキラした景色を眺めているうちに、あの人と初めて出会ったのはこんな麗らかな日だったと思い出した。
10年前のあの日…。
今日、緑に囲まれたチャペルで挙げられるのは…私の結婚式。
嬉しいかと聞かれれば、否と答える。
決して結ばれることは許されないけれど、私には好きな人がいるから。
今でも、好きな人が…。
心の中を別の人が占めていながら結婚を決めたのは、ひとえに…家のため。
「彬(アキラ)さんは?」
ふと思い出して口をついて出た言葉に、お母様たちは眉間に皺を寄せた。
「式には、いらしてくださるのでしょう?」
「ええ、まぁ…。」
このキーワードが出る度、お母様たちが言葉を濁すように返事をするのはいつものことだ。
お母様たちに促されて鏡に向けていた視線を、再び外へ向ける。
相変わらずキラキラした景色を眺めているうちに、あの人と初めて出会ったのはこんな麗らかな日だったと思い出した。
10年前のあの日…。