アオイハル
「今日は多いな、学校前にも聖女がたむろしてたぞ。

まさか、女と別れたなんて余計なこと言って無いよな?」



「いいえ、私が言わなくても、皆様ご存じのようでしたわ。

お兄様の様子を聞かれて『少なくとも私の前では普段通り』だとは申しましたが、いけなかったでしょうか?」



「だから『悲しみをこらえて気丈に振る舞ってる』と思い込んでいるわけだ、お嬢さん方は…。

ま、良いけどね~。」



兄は手にしたラブレターに目を通しながら呟いた。



私の言ったことがいけなかったのなら…明日からは、痛くも痒くもないようだと言った方が良いのだろうか。



そう思っていると、頭を撫でられた。



「学園内での受け答え、とりあえず聖愛にしては上出来だな。」



怒られなかったので、少しホッとした。



今日は機嫌が良いことだし、思いきって聞いてみようか…。



「お手紙の返事は、いただけませんの?」



私が口を開くと、兄は眉間にシワを寄せた。



「最初に言っただろ?

聖愛が持ってくるラブレターには、返事は一切しない。」



そう言うと、兄は自分の部屋に入ってしまった。



みんなに、返事を催促されてるんだけど…。



週明けに学校行くの、ツライなぁ。



私は、ため息をついた。





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