アオイハル
「ねぇ、聖愛さん。

お兄様のお返事は、いつ持ってきていただけるのかしら?」



学校に着くと、早速同級生たちに囲まれた。



「ごめんなさいね。

書くように説得はしているのだけど…。」



「ふぅーん、そうなのぉ?」



あ、なんかトゲのある口調で言われた。



「何だか、ホントにお兄様に渡しているの?…って思うわよね。」



直接渡しに行けない彼女たちの気持ちも分かるから、鞄が重くて嫌になるけどちゃんと持ち帰って渡しているのに…。



いつも心待ちにしているみんなに申し訳ないと思っているのだけれど、こういう言い方をされてしまってはさすがに腹が立つ。



そんなに返事が欲しいなら直接貰いに行ったら?



そう言おうと、口を開きかけた時だった。



「いくら聖愛さんを責めたところで、葛城様は返事をしてくださらないわよ。

『郵便配達させるために妹を女子校に入れたんじゃない!』って、お怒りでしたもの。」



そう言って話に割り込んできたのは…、誰だろう?



「栄依子様…。」



私を囲んでいた同級生の1人が呟いたから、先輩だということは分かった。



この学園では、先輩を様付けで呼ぶことになっているから。



周りの同級生は、口を噤むとバラバラと散っていく。



エイコ様と呼ばれた先輩は、それだけ言うと踵を返した。



あっという間の出来事だったから、お礼を言いそびれてしまった。






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