アオイハル
今日も翠子は生徒会があるため、私は１人でトボトボと歩いて帰る。



梨香は剣道部のマネージャーを始めたとかで、学校帰りに会うこともなくなった。



他のコみたいに車で通学させてもらえたら寂しさも紛れるのだろうけど、学校くらいは歩いて行けというのが家の方針。



途中、人通りが少ない場所に差しかかった時



「葛城聖愛って、アンタ？」



私の目の前に突然立ち塞がった男が、尋ねた。



危険を感じて来た道を戻ろうと思ったのだけど、背後にも男がいたので断念した。



「アンタのこと、ちょーっとばかり痛めつけてくれって言うのがいてね。」



後ろの男がそう言うと、前に立ち塞がった男も口を開く。



「痛い目、遭いたくないよな？

金くれるんなら、見逃してやるぜ？」



そう言われたところで、お金なんて持っていない。



「ま、身体で払ってくれても良いけど？」



顎に手をかけられ、上を向かされた。



何ですって!?



激怒していた私は、後先考えずにその手を振り払った。



「気が強いねぇ。」



「騒がれる前に車に乗せちまおう。」



必死に抵抗しても、身体は車に近づいていく。



何とかしなきゃ！



そんな時、アレの存在を思い出した。





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