どくんどくん2 ~あの空の向こう~
しばらくして、温かいココアを入れてくれたので、僕とユキは黙ってココアを飲んでいた。
相変わらず、時計の音が気になったが、僕の心臓は元通りの速さに戻っていた。
「ゆうじ君のおかげかもしれないな。もう泣かないって思ったの。あのライブの後に・・・。亮ちゃんも、もう過去は振り返らないって言ってた。ゆうじ君は、あの場所にいた全ての人に何かを残したよね。あの笑顔を見ていると、強さと優しさは比例してるんだって思うね。」
みずきさんは、結婚指輪をくるくると回しながら、話していた。
僕は、ずっと触れなかったゆうじの話題に、戸惑いながらも嬉しさを感じた。
「ゆうじも頑張ってるんだもんな。僕もしっかり頑張らなきゃな。」
「私も、頑張る。勉強も、恋も。ハルの支えになれるように。」
「もう充分支えになってるんだけど。」
僕は、チラっとユキを見たがユキはココアの表面をじっと見ていた。
「ふふふ。仲が良いわね、いつも。」
みずきさんは、恥ずかしげもなく照れくさい事を言う僕に少し頬を赤らめていた。