どくんどくん2 ~あの空の向こう~
第20話(偶然の再会)
『もしもし、ハルか??俺!!覚えてる?寛太だよ。』
元気いっぱいの懐かしい声に、思わず笑顔がこぼれる。
『覚えてるよ!!久しぶり!!元気か?』
『ハルに報告!!俺、ガキ生まれたよ!女の子だった。もうたまんね~よ。かわいくって。』
今朝から、やけに子供ネタが多い。
父親になろうと頑張ってる僕の周りの2人の友達に触発されたのか、僕は結婚のことばかり考えてしまう。
『おめでと~~!!!予想的中じゃん!女の子か~!寛太に似ないといいな。』
『俺に似てるんだよ、それが!サルみたいなんだけどかわいいの。毎日変わるんだよ、顔が。』
寛太は、無邪気な子供のようにはしゃいでいた。
『明日会えない?合宿で会ったやつらに連絡取って、集まろうぜ!』
学校と家との往復だけの日々が続いていた僕にとっては、新鮮な提案だった。
翌日、僕はユキを連れて寛太の家に向かった。
車の中でユキが突然思いついたこと。
「ねぇ、水野さんとみずきさんも誘ったら?」
僕はユキの機転の利いた一言に、また惚れ直してしまう。
「さすが、ユキだな!!」
「だって、精神科の先生とかいるんでしょ?それに、寛太君の奥さんもパニック障害だって言ってなかった?」
僕より数倍記憶力の良いユキに、僕は尊敬にも似た気持ちが湧き上がる。
僕の計画では、今日の帰りに結婚について話したいって思ってる。
ユキの気持ちを聞いた上で、ちゃんと改めてプロポーズしようと思う。