どくんどくん2 ~あの空の向こう~


「お父さんの名前は、山之上忠?」


「え??どうして?え?知ってるんですか?」


「やっぱり!前に山之上さんのタクシーに乗ったことがあるんだ。その時、お世話になってさ。一度ユキと会いに行ったんだ。お父さんは本当に優しくて、温かい人だよ。」


「あ!思い出した。おいしい饅頭くれた人?」


「そうそう!世間は狭いなぁ。びっくりだよ」


「まさか、こんな偶然があるなんてね。私も山の上さんと会った時に、また会いそうな気がしたんだ。ハルから話聞いて、会いに行ったんだよね。」


僕もユキも、嘘みたいな偶然に興奮していた。



「今から呼んでよ!!」


僕は、また会いたいと思っていた山之上さんに会いたい一心で、寛太にお願いした。

照れながらも、電話してくれた寛太は少し嬉しそうだった。



「土曜日は暇だから、後で寄るって言ってます。近くにいるらしくて・・。」



近いといってもそこまで近いとは予想していなかった。

5分と経たないうちに、玄関のチャイムが鳴った。



< 117 / 221 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop