どくんどくん2 ~あの空の向こう~
僕は、真っ青な空を見上げて大きく息を吸い込んだ。
「僕は、ユキと一緒にいたい。少しでも長く、ユキと一緒にいたい。かっこ悪いけど、ユキが泊まってくれた夜は、僕は熟睡できたんだ。ユキの寝息がないと、不安になる。」
「かっこ悪いね、ふふふ。私だって同じだよ。ハルの腕の中で眠ると、安心する。」
ユキは僕の手にまた砂をかける。
「僕は、まだ自分に自信がない。まだ理学療法士の勉強中だし、将来それを仕事にできるかどうかもわからない。親に援助してもらわないと生活もできない。」
空は雲ひとつなく、とても澄み渡っている。
僕は空を見ながら話す。
「私、ハルにそんな安定求めてないよ。収入とか、就職とか、そんなの2人でいればなんとかなりそうじゃない?一緒に勉強頑張って、一緒に就職探して、一緒に初月給でお祝いするの。」
ユキが立ち上がり、空を見ていた僕の視界の中に入ってくる。
「ユキ・・・ユキはやっと家庭の温かさを知ったばかりだ。お父さんとの時間もまだまだ足りないんじゃないかって心配なんだ。」
「ハル、もっとわがままになっていいよ。私、ハルについていくから・・・。」
波の音が、僕の胸のどくんどくんという音をかき消してくれた。