どくんどくん2 ~あの空の向こう~
「ユキ、今から高校へ行かないか?」
僕は、この浜辺でプロポーズしてもいいと思った。
だけど、桜の木が僕らを待ってる気がしたんだ。
車の中では、窓の外を見て相変わらず嬉しそうだった。
お父さんにこうして海に連れてきてもらったことがなかったのかもしれない。
子供のような目をしていた。
しばらく車を走らせると、見慣れた街並みが窓に映る。
「久しぶりだね~!!あ、そうでもないか。ライブ来たよね。」
「そうだよな。でも、久しぶりに感じるなぁ。」
車から降りた僕らは、坂道をゆっくりと歩いた。
空は、とても青く、やっと現れた一つの雲は真っ白だった。
「桜、まだ残ってるね~!懐かしいね。この桜!!」
「あぁ、まだ咲いててくれたんだ。僕らを待っててくれたのかな?僕、卒業式でこの木に約束したんだ。必ずまたユキとここに来るからって。」