どくんどくん2 ~あの空の向こう~
ユキは、桜の木を見上げながら目を細めた。


桜の木は、風に大きく揺れながら僕らを見守っていてくれる。



「ユキ。僕と結婚して欲しい。ずっと僕の隣にいてください。」



「・・・ハル・・私と結婚してください。私が幸せにしてあげるから。」



瞳の奥に涙を浮かべながら、ユキは僕に微笑んだ。


「ユキ・・大好きだよ!!!一生大事にするから!!」


僕はユキを抱き上げて、映画のワンシーンのようにくるくると回った。


「ハル愛してる。ずっと待ってたんだから・・・待ちくたびれちゃった!!」


「僕は、ずっと前からこの場面を想像してたよ。卒業式に、ここでユキにプロポーズするって誓ったんだ。この木にね・・。」


「そうだったんだ~!!じゃあ、卒業式にプロポーズしてくれたら良かったのに!!」

抱き合ったまま、ユキが少しすねた顔をする。

「えぇ~~!!僕だって、いろいろ考えてたんだよ。でも、難しいことは置いといて、この気持ちで突っ走ろうって思った。ユキを好きなこの気持ちさえあれば、なんだって乗り越えられる。」

僕は涙が出そうなくらい感動していた。


「そうだよ!私達、無敵だもんね。私、お父さんにも早く結婚したいって言ってたんだ。お父さんも、ハル君は慎重派だな・・なんて言ってたんだよ!」


「じゃあ、挨拶にも行かないとな。スーツでビシっと。ユキさんを僕にくださいって。僕は、事故に遭った時、宙を舞いながらユキのことばかり考えた。意識を失って、病院のベッドで寝ている時も、ずっとユキの夢を見ていた。」

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