どくんどくん2 ~あの空の向こう~
「良かった・・僕ずっと待ってたんだ。もうあんな悲しい顔したハル君見たくない。結婚するなら、もう泣かないよね。大丈夫だね・・」
ゆうじは、僕とユキの手を取り、力の入らない手で精一杯握ってくれた。
「ユキちゃん、ハル君を頼んだよ。ハル君泣き虫だから・・」
僕は、ゆうじの手を握り返した。
「泣き虫じゃねーよ!」
そう強がったが、涙が溢れてくるのがわかった。
ユキも溢れる涙を必死に我慢していた。
「任せて、ゆうじ君。もうハルのこと泣かせたりしないからね。」
「うん。良かった・・ほんとに良かった・・・ハル君・・僕、結婚式で歌っちゃおうかな。」
窓の外は、風が強く木々が揺れていた。
風の音が静かな病室に響く。
ゆうじは何度も頷いて僕の手を握った。
一番心配してくれていて、一番結婚を楽しみにしてくれていた。
ゆうじは、大好きな笑顔を僕にくれた。
何度も何度もその笑顔を見てきたけど、今日の笑顔はとびっきり素敵だった。
まさか、それがゆうじの最後の笑顔になるとは・・・・・