どくんどくん2 ~あの空の向こう~


僕は、内心すごく不安だった。

時効だと言ったけど、もしタケと何かあったとしたら、僕はショックで泣いてしまうかもしれない。


「・・・ハルと連絡取れなかった時に、私学校で泣いちゃったの。車の免許の合宿なんて知らなかったし、もう嫌われたのかと思って・・・」


「うん・・。それで?」


僕の心臓は物凄い音を立てて動いていた。


「その日に、タケが家まで送ってくれて・・・泣くほど辛い恋愛ならもうやめろって言われたの。俺じゃ、代わりになれないか?って。私、タケの事は友達としてしか見ることできないって言ったんだ。・・・そしたら、キスされたの。これで、男として見れる?って・・・」


「・・・・・キス・・・か。 アイツ・・・・ムカつく・・・」


キスだけで終わってくれと祈っていた。


「その時に、私わかったんだ。私はハルしか嫌だって!好きじゃない人とのキスがこんなにも嫌なものだって知らなかった。ハルとのキスは、あんなに幸せなのに、タケとのキスは辛くて涙が出た・・・そのまま走って車を降りた。ごめんね・・」


ユキは、思い出しながらとても辛そうな顔をした。


「・・・そか。話してくれてありがとな。無理矢理されたんだから、ユキは悪くない。泣かせた僕が悪かったんだ・・。」





ガチャ・・・




トイレのドアが開いて、ユキが僕に抱きついてきた。



「ごめんね、ハル。一生ハル1人の私だから・・・」

「僕もユキだけの僕だよ。」

「絶対浮気しないでね。浮気したら、私・・消えるよ。」



僕は、トイレの前でユキを抱きしめて、キスをした。


何度も何度も夢中でキスをした。


頭に浮かぶタケとのキスシーンをかき消すように・・・。








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