どくんどくん2 ~あの空の向こう~
「お疲れ~っす。」
僕は3分遅れで、コンビニへ到着した。
「遅い!!じん君たるんでる!!」
僕の時間の前にいつも入っているバイトの先輩が僕の背中を叩く。
この人は、僕より2つ年上の女性で、なぜか僕を『じん君』と呼ぶ。
慣れないその呼び名に、戸惑いながらも新鮮さを覚えた。
「すいません・・さゆりさん。明日は5分早く来ます。」
バイト仲間がみんなそう呼んでいたので僕も彼女を『さゆりさん』と呼んでいた。
コンビニには似合わない上品なさゆりさんだが、ここのバイト歴は長くみんなから慕われていた。
近くに1人暮らしをしていることと、英語が話せること以外僕はさゆりさんについて知らなかった。
僕のバイト初日に、外国人のお客さんの対応をしている姿に僕は見とれてしまったんだ。
流暢な英語と、自然な笑顔がこの店にはもったいない。