どくんどくん2 ~あの空の向こう~
「じん君、からあげ食べたい。揚げて!」
さゆりさんはいつもこんな調子で、わがままなのか僕の教育なのかわからないが、僕の苦手な仕事を頼む。
「あ~!!ほら、また揚げすぎ。キツネ色って言ったでしょ?キツネ知らないの?」
さゆりさんは、年上ということもあるけどかなりSっぽい人だ。
さゆりさんが帰るまでの10分程のこの他愛もないひとときに心地よさを感じる。
・・・と言っても、別に恋心を抱いているわけじゃない。
ただのバイトの仲間の一人として。
僕のバイトの時間の前にたまたま働いている先輩として。