どくんどくん2 ~あの空の向こう~

「じん君、からあげ食べたい。揚げて!」


さゆりさんはいつもこんな調子で、わがままなのか僕の教育なのかわからないが、僕の苦手な仕事を頼む。


「あ~!!ほら、また揚げすぎ。キツネ色って言ったでしょ?キツネ知らないの?」


さゆりさんは、年上ということもあるけどかなりSっぽい人だ。

さゆりさんが帰るまでの10分程のこの他愛もないひとときに心地よさを感じる。

・・・と言っても、別に恋心を抱いているわけじゃない。



ただのバイトの仲間の一人として。

僕のバイトの時間の前にたまたま働いている先輩として。


< 156 / 221 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop